小さなヒーローたちへ ~ Don’t try to fit in. Be yourself! ~
滋賀学園中学・高等学校では、「自分で物事を考える力」「何が問題であるかを認識し、解決する力」「自分の考えを伝える力」を育んでいくことを教育の根幹に置き、さまざまな活動を通して、生徒を育てています。
昨年度の卒業式で、「どうせ無理」という言葉を使わないようにしませんか、と訴えました。この言葉は、人間の自信と可能性を奪う最悪の言葉であり、学びや成長とは無縁の、いえ、むしろそれらを邪魔する言葉です。
今年度、滋賀学園では、「どうせ無理」と言いそうになったら、「だったらこうしてみよう」と考える。お互いに、「できない理由」を探すのではなく、「できる方法」を見つけ出していくことを、教職員も含め全員で実践していきたいと思っています。
さて、私たち滋賀学園が考えている「学校」の意味を3つ、皆さんにお伝えしておきます。
1つめは、「学校は多くの失敗をする場所」だということ。
学校は、多くの挑戦をするところであり、自分ができることだけをやっているようでは意味がありません。多くの失敗を経験して、そこから学ぶ。失敗は、より良く生きるためのデータ集めに過ぎません。恥ずかしい思いをすればするほど強くなれます。
ところが、いまだに、私たちは「失敗を避ける文化」から抜け出せてはいません。失敗しない完全無欠の人間など、この世にいるわけがないのに、失敗を極端に嫌い、恐れています。おかしな話です。
失敗があるから成長があり、そこから学んだ多くの教訓を語れるからこそ、人に魅力が生まれます。失敗を避けることに気を遣い、挑戦できないような人間になったら目も当てられません。それこそ、最大の「失敗」です。
2つめは、「学校は多様性を受け入れる場所」だということ。
言い換えれば、「思いやりの心を育む場所」だということです。人は、それぞれみんな違います。育った環境、容姿、考え方、身体能力、学力など・・・それらすべての違いに優劣はなく、「自分も違う、他人も違う」ということを理解することが、生きていく上で最低限のルールです。
最近、よく聞く「グローバル化」という言葉。その一歩も、言語の習得以前に、多様性、違いを認めるという、当たり前のことから始まります。日本のように、均質な社会構成の中で、これを感じるのは難しいことかもしれません。だからこそ、「出る杭を打つ」のではなく、「出る杭をどんどん伸ばす」。そんな気持ちで、子ども たちを見守り、育てていきたいと考えています。
3つめは、「学業は世界を良くするためのもの」だということ。
学校で学ぶことの意義は、この社会を変え、世界を良くするところにあります。滋賀学園では、学校は「何かを教える場所」ではなく、「学ぶことを教える場所」であるという発想に立って、授業や課外活動を組み立てています。
知識も大事ですが、それ以上に大切なのは、予測ができない将来に向けて、その都度、学んで解決する手段を見つけることです。皆さんの中には、勉強は受験のためだと考えている人が多いと思いますが、それは勉強のごく一部に過ぎません。
私が、もし「何のために勉強するのか?」と聞かれたら、「学ぶことを通して、まだ解決されていない問題に対処し、人々を幸せにするため」と答えます。
皆さんが、生涯学び続ける意義を見出し、多様性を認める謙虚な姿勢を身につけ、世界を良くするために自分の「好きなこと」をとことん追求できるようにするのが、私たち滋賀学園教職員の役割です。
どうぞお気軽に、どんな些細なことでもご相談ください。
滋賀学園中学・高等学校
校長 安居長敏